エキサイティングな人生を

仕事とジャニーズにまみれる日々

研究の数だけ 問題が生まれる

よき機会に恵まれ、すごく大きく括ると同じ分野だけど私の全く知らない領域のチームが調査地に滞在している。調査中は一緒になることがないが、視点が全く違い、同じ調査地を見ていても「こんな見方があるのか…」と自分の無知に改めて気づかされ、気持ちを引き締めるよいタイミングとなった。

研究や自分のモチベーションについて書いても、恥ずかしくて読み返すこともなかなかないが、本当に気持ちを入れ替えることができたので、記しておきたいと思う。

おぼちゃん問題の進捗もでて、STAP細胞の存在は認められなかったわけだが、研究の不正はどこにでも潜んでいるよね、という話に。例えば、動物の行動観察をしていて一瞬をとらえてデータを捻出しなければならない場合、人間だから先入観が生んだ見間違いや、記入ミスなどもないとは言えない。例えば、間違いなく左手を使うはずだという仮説のもと観察を行っていて、たまたま右手を一瞬使ったとする。「右手…使った?!ん?あれ?」と思っているうちに、状況は刻々と変わり、信じるべきは一瞬をとらえた自分の目だけとなるのだ。他にもAの領域にはA'という生物しかいないはずだという仮設だった時に、1個体だけB'という個体が混ざっていたらどうだろうか。人間はどうも楽をしたい生き物らしい。自分の研究と真摯に向き合っている人は、こんな誘惑に屈しないだろうが、特に今後研究を続けていく気のない学部学生はどうだろうか?就活に勤しむ修士課程の学生はどうだろうか?。実際担当教員が生データに戻って確認を行うというのは、とても労力を費やすことであるし、容易にできることではないことが、学生からも分かる。研究倫理。きちんと理解して納得した上で研究を進めないと、危うさはどこにでも潜んでいると思う。6ヶ月という長期調査はモチベーションの維持、集中力の維持が本当に難しいが、改めて気を引き締めるよい機会だった。

そして、今回の調査は助教クラスの人が多いのだが、本当に楽しそうに毎日毎日調査をしている。当時、彼らが院生だったころの話を聞くと、今の学生の様子とはだいぶ違うようだと感じた。彼らの出身も研究センターという括りの施設で学部学生がいない環境だったため、多くの学生が博士課程に進み、日々飲んでは議論を交わし、寝る間も惜しんで研究室に籠っていたと。別に研究室に夜遅くまで籠るのがいいとか、徹夜するからすごいとかではなく、全体のモチベーションの高さと学生間、学生教員間で交わされる熱量の多さに、話を聞いているだけで羨ましく思えた。その経験がいまだに続いているからこそ研究続けられるし、楽しんでいるのだと思う。

「最近の学生は自分の研究を楽しい、面白いと思ってやっているのか不安になる。どうしたら研究が楽しいと伝わるのか。」と言っているを聞いて、正直自分が卒業した某私立大学の同期のことを思い出した。正直、将来研究者になりたいわけでもないため、自分の研究に誇りを持てるほどの時間を費やさず終わっている人がほとんどである。しょうがないよな…と思っていると「私たちが楽しそうに研究しないと伝わらないよね」と。そして「BにはMがMにはDが一番身近なわけだから、私たちよりもその人たちが身近にいて楽しそうに研究していることがつながるのかな」と。私も研究センターのような学部生のいないところに身を置いているため、身近に博士課程の先輩もポスドクの先輩もいる。そんな方々からこんな未熟なM2に共同で研究しない?とお誘いをいただくこともあるし、毎月世界各国の有名な研究者が訪れ、セミナーをしてくれる…。そりゃ、修士の学生までしかいないような研究室とはモチベーションが変わってきてしまうのは、当然なのかもしれない。でも、どうにかして楽しく研究して欲しい!と切に願ってくれる助教陣がいてくれると思っただけで、少しほっとした。ポスドク問題、大学改革…こんな問題山積みの中に足を踏み入れるかどうかは、まだ決断できていないが、今自分の研究が楽しくてしょうがないし、どうにかデータにして証明したいと思っているのは事実である。学位取得まではもう少しあがいてみても悪くはないかな。

あと1か月で長かった今回の調査も終わろうとしている。帰国後はデータとのにらめっこで、何度もやめてやる!と思うかもしれないし、さらにワクワクするのかもしれない。楽しみだ。自分の担当教員と上手くいってない+考えに共感できなくなってきた…なんてことが最近多かったため、今回来てくれた調査チームには感謝しきれない。つい、世界が狭くなってしまいがちだったが、少しだけ空間が広がり、詰まっていた息を吐き出すことができた気がした。就職してたって研究続けてたって、問題は山ほど降ってきて、悩むのだ。研究の数だけ問題は生まれる。間違いない。

さて…11月に控える学会のアブストを完成させよう。提出期限が迫っているぞ!

(夢の数だけ愛は生まれる / NEWS)